2013年7月6日

自分の言葉で説明するということ

友達に紹介してもらった美容院に行ってきました。

アンティーク調のお店は上品だけど重苦しくない感じで、はさみやスプレー缶の並んだワゴンも見えなければ雑誌棚も見えない、料理が出てきてもおかしくなさそうな綺麗なところでした。なぜか自分が丸裸にされるんじゃないかというような不思議な感覚になりました。

席に案内されると、たいてい最初にカルテを書きます。名前、連絡先、誕生日、髪の悩みやなりたいスタイル、読んでいる雑誌、さらにはカットしてもらっている間に美容師さんとたくさん話したいか、ゆっくり雑誌を読んでいたいかを選択肢で選ばせることもあります。どこの美容院へ行っても初めてのときはだいたい同じような感じでひととおりカルテを書き、書き終えたかなというところでカウンセリングが始まるのでそういう流れを予想していたのですが、この店はちょっと違いました。ご記入くださいと言われた台紙には名前と連絡先を書くだけ。

自分の好みや悩みはそうそう変わらないので、美容院のカルテって宅配便の伝票のようにすらすら書けてしまいます。例えば私はくせっ毛が悩みなので、いつも何も考えずその選択肢にマルをします。書き終わったら「うんうん、これが私」って妙に納得していたりします。でも今回のように何も書かされないと、急に自分自身に向かい合わさせられたような感覚になりました。自分の髪について、全部自分の言葉で説明しないといけない。私ってどんなスタイルになりたいんだっけ?いつもお手入れで困っていることって何だったっけ?

なんだかそわそわしていると、担当の人がやってきて自己紹介をし、ゆっくり丁寧にカウンセリングしてくださいました。話している間に私が迷いだしても、それもずっと聞いてくれて、わたしの中のおぼろげな希望をちょっとずつ見えるようにまとめてくれました。好きなスタイルにしてもらえたというより、なりたいスタイルがこれだったというのが分かったという感じ。

たぶんそこのお店は、選択肢にマルするだけでは表れないところにお客さんの本当の好みや悩みがあると確信しているんじゃないかなと思います。だからあえてなにも書かせないで、会話の中で解き明かしていくのではないかな。私にとっても、自分がどんなふうになりたいのか説明しなければならない環境になることで、自分と対峙する時間をもつことができました。久しぶりに素敵な時間でした!

0 件のコメント:

コメントを投稿